ローイクラトンとコムローイ

タイ北部の町チェンマイにはタイの伝統行事としてタイの12月の満月の夜(今年は11月19日)の満月の夜に行われる「ローイクラトン」と「コムローイ」というお祭りがあります。

ローイクラトンは「クラトン」と呼ばれる灯籠を川や池など水のある場所で流し、「灯篭流し」のことです。広場に池のようなプールを作ってそこに流すところもありますが、もともと仏教に関わる行事で、タイ全土で昔から続いている伝統的な風習です。バナナの葉でハスの花をかたどったクラトンをつくり、川の恵に感謝して水の女神“プラ・メー・コンカー”に祈りを捧げ、自らの魂を清めるお祭りです。13世紀のスコータイ王朝の王妃が満月を映した川に流したことがそのはじまりとされています。現在ではバナナの葉や花、ろうそくで作られたきれいな灯篭を流すさまがSNSを通して世界中にも広く知られるようになりました。

ローイクラトンの意味
・川の女神、水との関わりに感謝の気持ちを捧げる
・自らを清める

https://www.flickr.com/photos/cm_john/8511571189/in/album-72157632867792213/
photo by John Shedrick,2010

コムローイ(イーペン祭り)はローイクラトーンと同じ時期に開催されることもあって1つのものとみなされがちですが、この2つは別のお祭りです。ローイクラトンが灯篭を水に流すお祭りなのに対して、イーペン祭りは熱気球のようなランタンを空にあげる(コムローイ)もので別の行事です。コムローイはもともとチェンマイのサンサーイという地域で熱気球式のランタンを空に飛ばして天上にいらっしゃる神様(ブッダ)に収穫を感謝し自らの穢れを手放すお祭りとして開催されていましたが、ディズニー映画の「塔の上のラプンツェル」のモデルにもなったことで大人気となったこともあいまって、2010年ころから現在の大規模なお祭りになったようです。

コムローイの意味
・農作物の収穫を祝う
・天上にいらっしゃるブッダに感謝をし厄よけや自らを清める

photo by Masaki Nakatani,2015

ローイクラトンやコムローイ(イーペン祭り)はタイの仏教的心性に深く関わる伝統的な行事です。美しさから多くの方が世界中から集まり、にぎわうお祭りですが、それぞれの意味合いや開催場所は異なっています。しかしいずれにも共通しているのは「当たり前に思いがちな日々の恵みに感謝すること」「足りない、不満足といった我欲を手放すこと」「そのことにあらためて気づき、自らを振り返ること」ではないでしょうか。

私が初めてこのお祭りに触れたのは2013年、東日本大震災が起こって以降、世の中は変わったと感じていました。ちょうど、日常のあたりまえの日々こそが有難いものであると思い知るようになった時期であり、この感謝のお祭りを体験して美しさとありがたさを感じたものでした。
いま、新型コロナ感染症のパンデミックによって、再び日々のありがたさを感じることができるようになった今年、ローイクラトンとコムローイのお祭りに思いをはせながら感謝の日を迎えたいと思っています。

photo by Masaki Nakatani

 

 

最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。