13歳のハローワーク

知り合いに勧められて、村上龍著「13歳のハローワーク」(幻冬舎)という本を読んでいます。この本は一時大ベストセラーになったので読まれた方も多いかと思います。この本では「13歳」という年齢がピンポイントされていますが、誰だって13歳のときがあったはずです。ひょっとして、今だって風貌や実年齢は違っていますが、意識を向ければ一瞬だけ「13歳」の気持ちになることができるかもしれません。

「大きな会社に入って、みんなと一緒に働いていけば”寄らば大樹の陰”で安心してよいくらしができる」という人生の選択肢は、いまやなくなりました。この本は「スポーツをするのが好き」とか「心のことを考えるのが好き」など、自分が「好き」なことを基準において、自分の好きなことから、向いている職業を紹介しているものです。「職業」を紹介していますが、「優良企業」を紹介しているのではないところがミソです。「どういう職業につくか」ではなく、「どんな職業をして、どれだけ人生を豊かに生きるのか」が重要だという立場なのです。

スポーツ、工作、テレビや音楽・・・いろいろな好きなことから職業を考えることに徹して、扱った職業は514種にのぼります。動物好きならトリマー、競馬調教師、火と煙と炎が好きならば、火山学者も消防官も花火師もあてはまるでしょう。収集好きなら宝石鑑定士や学芸員、おしゃれが好きならデザイナー、エステティシャン、伝統工芸の仕事も職業としての自衛官まで紹介しています。

もちろん、それぞれの職業について著者が熟知しているわけもないので、この本の内容だけを頼りに自分の進路を決めるのはやめたほうがいいでしょう。著者(村上龍氏)の視線から見た紹介であり、実際には詳細を自ら調べた上で、「自分で選ぶ」ことが大事です。これは、IPSのような個別性を重視する就労支援にとっても重要な観点です。「ある人が成功する仕事は、その人にしか決められない」「あらゆる角度から働くことを考える」という基本的な考え方はまったく共通しています。

この本の帯には次のように書いてありました。

好きで好きでしょうがないことを職業として考えてみませんか? 

働くことの支援をする就業・生活支援センターのスタッフの末席を汚す一人として、”働くことが楽しくて仕方がない”という自分自身を見せることによって、これから社会に身を置いていこうとする人たちに、働いて人生を豊かにする素晴らしさを伝えて行きたいと思いました。

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(wrote:財団法人 住吉病院