アメリカの障がい者保障

就労支援プログラムを勉強していると、アメリカのシステムがたくさん検索に引っかかってきます。アメリカでは、収入を得ることの困難さは命に直結するからかもしれません。

さて、そういう文献などを読んでいてよく目につくのはSSDIとSSIという社会的な収入補償の制度です。私はこの2つがどういうものでどう違うのかがイマイチわからなかったりしてました。ネットや文献で調べた範囲では次のようなことのようです。

アメリカでは,社会保障局(Social Security Administration=SSA)が主体となって、社会保障障害保険(Social Security Disability Insurance=SSDI)および補足的所得保障(Supplemental Security Income=SSI)の2つのプログラムが障がい者に対する公的な所得保障の柱となっています。

どちらのプログラムも、対象とする障がいは

  1. 1年以上継続するあるいは死に至ることが予測される身体的か精神的な機能障がいがある
  2. そのため、実質的稼得活動(Substantial Gainful Activity=SGA)ができないこと

と規定されています。アメリカでは月おおよそ830ドル以下の所得層がSSDI/SSI支給の対象者となり、この障がい状態が継続しているか否かは3年ごとの継続障害審査(Continuing Disability Review=CDR)によって判定されます。これは現況届けのようなものでしょう。

SSDIは民間企業の雇用者・労働者と一定額以上の年収の自営業者を強制適用者とした社会保険制度です。適用対象者が65歳未満で障がい者となった場合に、それまでの期間の一定の割合以上保険金を納入していた場合に受けられます。厚生年金のシステムに似ています。また、SSDI給付を24ヶ月受給した人々は公的医療保険メディケア(Medicare)が適用されることになっています。就労してもSSDIは継続して受けることのできるシステムになっているそうです。

それに対し、SSIは所得および資産が一定水準以下の高齢者および全ての年齢の障がい者に対して所得・資産調査を前提として現金給付を行う制度です。生活保護に近いかもしれません。制度の運営は連邦が行い、財源は連邦政府の一般会計です。SSIの受給者は公的医療扶助メディケイド(Medicaid)の適用を受けることもできます。SSI受給者のメディケイドについても,就労を促進するために,就労の結果SSIが終了した後にも継続適用がなされる可能性があります。

アメリカでも、社会的所得保障を受けている受給者には、やはり「就労することにより保障が下がる」ことへの危惧があるそうです。このために、就労支援は当初の勢いが持続せず、障がい者の就労率が1990年代以降伸び悩んでいることもある、さまざまな施策やプログラムが追加されてきています。アメリカの流れを追認していても、タイムリーな就労支援の方式は刻々と変化しています。エビデンスに基づく支援EBPについても、徐々に改変され、進化してきているように思います。

重要なのは最新の正しい情報を把握するためのアンテナと努力だと思います。

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(wrote:財団法人 住吉病院