ワーキングライフ
- 2007.09.15
- 日記
最近、読んだ本の中で興味を持ったのは、“A Working Life for People with Severe Mental Illness”(Becker&Drale,2003著:大島 巌/松為 信雄/伊藤 順一郎翻訳「精神障害をもつ人たちのワーキングライフ」
です。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4772408517
1980年代初頭、発達障害の領域での研究において、Wehman&Moon(1988)は、援助付き雇用をplace-and-trainモデルとして概念化し、仕事探しの前に長い前職業訓練を提供するそれまでのやり方を逆にしました。アメリカでは1986年の修正リハビリテーション法によって、援助付き雇用は、最も厳しい障害を持った人々が継続的な支援のもとに統合的な就労状況における一般雇用を受けるものとして定義されました。同時にアメリカでは精神障害を持つ人たちの脱施設化が大きく進み、州立の精神病院が閉鎖され、授産施設や作業所の規模縮小があり、また、精神保健センターなどでのデイケアが慢性の統合失調症の患者さんを適応としなくなるという動きがありました。
そのデイケア施設から就労支援施設への転換のさきがけともいえるのがニューハンプシャー州ダートマス精神保健リサーチセンターのDrakeたちです。この半経験的研究はデイケアプログラムを援助付き雇用に転換させたもので、デイケアスタッフが雇用スペシャリストになったものです。その成果は予想とは異なり、重度の精神障害を持つ人たちを対象としたデイケアを中止して援助付き雇用を提供した5つの機関において不利な結果なしに一般就労に至る率があきらかに増加したというものでした。
Drake RE & Becker DR:The Individual Placement and Support Model of Supported Employment.Psychiatric Services 47(5)473-475,1996
何事においても視野を広く持っていくことと、過去の経験にこだわらず、流れに乗る柔軟さも必要だと思いました。
(wrote:財団法人 住吉病院)
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