心理教育ってなんだ?その2

心理教育についてのお話しの続きです。

心理教育の特徴は次のようなものだと思います。

1.精神疾患を脳の生物学的な障害と規定し、精神症状をストレスと身体の反応性(脆弱性といいます)の相関で生じてくるとするモデルを採用しています。つまり、医学優先といえるでしょう。

2.感情表出(EE)の研究成果を理論的背景とし、再発予防を標榜する。すなわち、実証主義的です。←EEについては、後日お話しする予定です

3.薬物療法や作業療法と併用するのが原則です。つまり、補完的と考えられます。

4.精神疾患に関する情報伝達と、ご家族やご本人の対処能力向上のための教育やトレーニングを主な内容とする。いわば教育的です。

5.当事者は回復する能力を持つ治療協力者であると考える立場をとります。非家族病理論にたっています。

6.したがって、従来のシステム論的家族療法とは一線を画し、また心理的解釈や洞察などの心理療法過程を志向しないわけです。

心理教育の適用については、

1.ご本人が病気の名前を知っている/知らされているとやりやすい

2.対象は当事者ご本人、ご家族、支える方々(ケア・ギバー)

3.統合失調症/気分障害/摂食障害/強迫性障害/認知症(家族)など広範囲に適用できる

となっています。ご本人に病気のことをお教えし、一緒に対処方法を考えて、実際の生活をよりよいものにしていこうという志向性は、当法人でははるか以前からアルコール医療で培われてきたものです。

ですが、私は、前の勤務先でも本当に教育しなくてはいけないのは医療関係者だ、ということをご家族の方や支援者の方からよく聞かされてきました。そんな中で、来月からは、院内の教育委員会でご指名をいただき、スタッフ向けに何回か話す機会を得ることができました。

自身の考え・信念をお伝えするとともに、スタッフの方々に教育してもらいたいと思っています。

 

スタッフ向けに有用な本といえば、イアン・ファルーン・鹿島晴雄監修「精神科リハビリテーション・ワークブック」中央法規出版 ISBN:9784805819296

でしょうか。2000年の本ですが、基本的な考え方は現在の臨床場面でもかわっていません。

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(wrote:財団法人 住吉病院