弊ブログが選ぶ今年の10大ニュース

今年も皆さま、大変お世話になりました。弊法人は今年もさまざまな活動をしてまいりましたが、今年1年を振りかえって、個人的に選んだ10大ニュースを発表させていただきます。

1.熊本大地震
  4月14日午後9時26分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード(M)6・5の「前震」が発生し、16日午前1時25分頃にはM7・3の「本震」が起き、最大で震度7を観測しました。その後も震度6強などの強い地震が断続的に発生しました。一連の地震による直接死は50人、避難所や車中泊などで体調を崩したことなどによる関連死は110人に上りました。弊法人では県からの要請にこたえて医師・看護師・精神保健福祉士からなるDPATチームを派遣して被災地支援を行わせていただきました。また、法人の部署ではありませんが、WRAP山梨では「よんもくWRAP」の際に募金を募って寄付活動をおこない、現在も継続しています。現地ではまだ復旧は十分でない中、年を越すことになります。現地の皆様のご健康をあらためてお祈り申し上げます。

2.BREXIT(イギリスのEU離脱)と世界の動き
  6月23日、イギリスでは欧州連合(EU)離脱か残留かを問う国民投票が実施され、結果は「離脱」の選択となりました。投票の内訳は「離脱」51・9%vs「残留」48・1%となり、「残留であろう」とする事前予想に反した結果となり、世界に衝撃をもたらしました。また、アメリカ大統領選挙でもドナルド・トランプ氏が事前の予想を裏切りヒラリー・クリントン氏に勝利し、次期大統領に就任することになりました。イギリスではEUの規制と地方の疲弊した国民のもつ移民問題への不満からBREXITが起こり、アメリカでもやはり移民問題と貧困にある白人層の不満からドナルド旋風が起こりました。世界は既存の体制に対する不満が噴出するようになり、不寛容の風が吹き始めたようにも思います。この流れが続けば、今後大きな変化が到来するかもしれません。

3.障がい者施設における大量殺戮
 7月26日未明、神奈川県相模原市の知的障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」に元職員が刃物を持って侵入、入所されている何の罪もない人々19人が刺殺され、入所者と職員の計27人が重軽傷を負わされました。逮捕された元職員の容疑者は今年2月、衆院議長公邸に手紙を持参し、入所者の殺害を予告していました。内容は障がいを持つ人の生命は社会のためにならないとする偏見・差別に満ちた社会的優生思想に染まったものでした。この手紙の情報は、県警津久井署から施設に伝わりましたが、この時点では逮捕されず措置入院となったものの、病状安定として退院してから数か月のちの犯行でした。ヘイトクライムに対してそもそも精神医療が対応すべきものであるのかについてを含む、当事件発生や被害拡大の防止についての検証が十分でないままに、精神障がいをお持ちの方を危険視し地域管理を進めるべきであるという議論が展開されていることは、かつての大阪池田小学校事件の後に医療観察法が制定された当時のことを思い出させるような気がしています。

4.リオデジャネイロオリンピック、パラリンピック日本勢活躍
 8月5日からブラジルのリオデジャネイロで開催されたオリンピック大会は8月5日に開幕し、日本は史上最多のメダル41個(金12、銀8、銅21)を獲得しました。レスリング伊調馨選手の4連覇、体操内村航平選手の連覇、陸上男子400メートルリレーのメダル獲得などが印象に残りました。続いて9月7日から開催されたパラリンピックでも日本勢は活躍、メダル24個を獲得しました。個人的にはウィールチェア・ラグビーの迫力に驚きました。国内ではソーシャルフットボールが盛んになってきましたが、精神障がいをお持ちの方の大会参加についても一考していただけるようになることを希望します。

5.天皇陛下、生前ご退位のご意向表明
 天皇陛下は8月8日、国民あてのビデオメッセージで、「高齢となった天皇の望ましい在り方」についてのお考えを発表されました。陛下は数年前からご高齢による体力の低下をお感じになられ、今後天皇としてのさまざまなお勤めを務めを果たしていかれることが、難しくなるのではないかとのご懸念を表明されました。過去には天皇のご譲位や摂政の設置なども歴史に記されていますが、今般は終身天皇を前提とする現行制度の問題点に触れられたものと愚考します。
 政府は有識者会議を設置して議論を行った結果、特例法を制定して現在の天皇陛下に限って退位を実現するよう安倍首相に提言する方針を固めました。陛下のご健康が政治の争いのタネとならぬように審議していただきたいと思っています。

6.ヴァンフォーレ甲府J1残留
  例年通り、昨季の主力が引き抜かれて開幕前の予想では降格予想のチームに挙げられていた我らがヴァンフォーレ甲府。FWクリスティアーノの活躍で序盤は上々のスタートを切りましたが、ここ数年チームを支えてきた堅守が崩壊して、最終的に1stステージを17位で終えたうえ、さらに、クリスティアーノが柏レイソルに移籍するという苦境に立ちました。2ndステージでは第8節のアルビレックス新潟、第9節のサンフレッチェ広島を連破し、勢いがついたかに思われましたが、後半戦から加入の新エースFWドゥドゥが離脱すると得点力に深刻なダメージが与えられ、例年以上に苦しい残留争いでした。最終節でもサガン鳥栖に敗れましたが、下位チームの取りこぼしに救われ、勝ち点31、昨年よりポイント6減での文字通り薄氷の残留でした。GM兼務で限界も見えた佐久間監督に代わり、来シーズンは吉田達磨新監督のもと、堅守にプラスアルファのある新たなヴァンフォーレ甲府の活躍を期待します。

7.ゾピクロン・エチゾラムが向精神薬に指定される
 長らく、向精神薬指定を受けてはいないまま依存性などにつき懸念が評されていた、ゾピクロンとエチゾラムが改正政省令により本年10月14日から第3種向精神薬に指定されました。
このことを受け、今後は上記の2剤については診療報酬上の投与期間の上限は30日となりました。まだまだベンゾジアゼピンの長期投与により依存性などでお困りの方は多くいらっしゃると思いますが、弊法人でのこのところの取り組みが形になったことは素直にうれしく思っています。弊法人では引き続き「薬剤師外来」なども開設して、向精神薬の適正使用に心がけていく所存です。

8.日米両首脳が戦争の被害者の碑を慰霊訪問
 戦後71年を迎え、オバマ米大統領が5月27日、現職の米大統領として初めて、被爆地の広島市を訪問しました。オバマ氏は声明を発表。犠牲者を追悼するとともに、「核兵器のない世界」を目指す必要性を訴えました。
 そして安倍首相は12月27日、ハワイの真珠湾での慰霊碑に献花し、「戦争の惨禍は、二度と繰り返してはならない。この不動の方針をこれからも貫いていく」と力説しました。
 日米での和解はこれでなったのでしょうか。さまざまな争いで恩讐の連鎖に巻き込まれている世界が、少しでも平和と連帯に塗り替えられていかれるように、我々は努力し続ける必要があると思います。

9.大隅氏がノーベル賞受賞
 10月3日、2016年のノーベル生理学・医学賞が大隅良典・東京工業大栄誉教授に贈ると発表され、12月10日、ストックホルムで授賞式が行われました。大隅氏は、細胞が自らたんぱく質などを分解して再利用する「オートファジー(細胞の自食作用)」の仕組みを発見、がんや神経疾患の新しい治療法開発に道を開いたことが評価されました。
日本のノーベル賞受賞者は昨年の生理学・医学賞:大村智氏、物理学賞:梶田隆章氏に続きこれで25人目となり、生理学・医学賞では大隅氏は4人目でした。心よりお喜び申し上げます。これとは別に、今年のノーベル文学賞をアメリカのシンガーソングライター、ボブ・ディラン氏が受賞されたことは新鮮な驚きでした。

10.障害者差別解消法施行
 障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)は平成28年4月1日より施行されました。この法律では、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮をしないこと」が、差別になります。
 「不当な差別的取扱い」とは、例えば、「障がいがある」という理由でスポーツクラブに入れないこと、アパートを貸してもらえないこと、車いすだからといってお店に入れないことなどは、障がいのない人と違う扱いを受けているので、「不当な差別的取扱い」であると考えられます。 「合理的配慮をしないこと」とは、聴覚障がいのある人に声だけで話す、視覚障がいのある人に書類を渡すだけで読みあげない、知的障がいのある人にわかりやすく説明しないことは、障がいのない人にはきちんと情報を伝えているのに、障がいのある人には情報を伝えないことになります。それぞれの人の特性に応じて問題解決の際にその人に合った必要な工夫ややり方を相手に伝えて、それを相手にしてもらうことを合理的配慮といいます。
 弊法人は、今回の新たな法律施行をさらなる契機として、私たちの行動理念をなお一層進めて社会に貢献していきたいと考えています。

次点:タイ国王プミポン陛下崩御
 10月13日、世界で最も在位の長い国王として知られたタイのプミポン国王が崩御されました。88歳でした。プミポン国王は、1946年に18歳で即位して以来、国家元首として70年にわたって国を治めてこられました。
 プミポン国王はタイの統一と安定の象徴として治世され、たびたび政治の混乱が起きてきたタイでは政治にも発言をされて混乱を沈めタイの安定と繁栄の要となってこられたと思います。陛下の崩御はタイの政治や経済にも大きな影響を与え、国務機関は1年間の服喪となり、私が11月中旬にタイを訪れた時も街中では多くの人々が黒の服装で歩き、王宮周辺には早朝から長い弔問の列ができ、人々は粛々と何時間も並んでいました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

皆さま、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。