精神科病院をもっと知るために
- 2011.07.20
- 日記
山梨県の精神保健福祉を考える会では、さまざまな活動をしようとしていますが、その一つに「はじめて精神変調をきたした場合に、市民はいかにして情報を入手し、どのように病院を選択するかという観点」から、役に立つ精神医療福祉に関する情報提供を行うことをできないか、と考えてきました。そのことを考えるためには、精神医療サービスの質はどうやって評価されるものなのかを考える必要があります。
以前、私は厚生労働科学研究や精神神経学会の委員会活動等を通して学んだことがありますが、その折に教わったことは:
?@ 受けるべき医療サービスの質と実際のそれには深刻な差異が存在する
?A 医療サービスの質の構成要素は治療の直接の効果、患者の利便性、その他、からなる
?B 各構成要素は絶対的レベルのみでなく相対的評価(バラツキ)についても評価されるべきである
というものでした。?Bに関してさらにいえば、レベルとは絶対的な質(狭義の質)を、バラツキは公平性・標準化の程度を示す指標であるといえるというものでした。
実は、全国的に精神科病院や社会復帰施設等については毎年行政が調査により情報を収集しています。これはいわゆる「630調査」と呼ばれており、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課(平成18年からは障害福祉課との連名)が毎年6月30日付で都道府県・指定都市 に報告を依頼している調査であり、得られた情報の正式名称は「精神保健福祉資料」といいます。現在は精神医療福祉の改革ビジョンホームページhttp://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/index.html を作成している厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)「精神保健医療福祉の改革ビジョンの成果に関する研究」研究班によって、調査票の作成、調査結果の解析及び研究成果の有効活用などの研究が行われています。
ただし、ここでの情報は、地方自治体ごとなどにより取りまとめられたもので、具体的個別的データについてはわかりません。これを知るために活動している人たちもいます。たとえば、
東京精神医療人権センター →http://www.arinomama.net/
大阪精神医療人権センター →http://www.psy-jinken-osaka.org/
では、情報公開条例により個別に病院の情報を入手して評価し公表しています。このような活動は埼玉でもされており、また、静岡ではご本人たちの会である「藤枝友の会」様による独自の精神科病院へのアンケート+訪問調査の結果が公表されています。
山梨県は精神科病院は総合病院を含めて11か所しかありません。クリニックもまだ多いとは言えず、精神医療を利用したいと思われた方の選択肢は十分ではないと考えられています。そのような中で、精神科医療機関が選択しやすくなるためにより詳しい情報があれば、ユーザーの方の求める医療とそれぞれの病院の特性のマッチングができるようになり、精神科医療の資源がさらに有効に活用できるようになるのではないかと思います。
山梨県の精神保健福祉を考える会ではその他にもさまざまな、ご本人やご家族と地域の人々が元気になれるような活動を行っていきたいと考えているようです。こういった活動にご協力していただける方、ご興味のある方はどうぞこちらまでご連絡下さいますと幸いです。
→yarimashoukai○gmail.com ※○の部分を@に変換してメールをしてください
最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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