第26回IPS勉強会~住吉病院にて~

さる9月22日、住吉病院で第26回IPS勉強会を行いました。一緒に読み進んでいきた「ストレングスモデル」もいよいよ第9章となり、最終章となりました。今回はストレングスモデルに対する質問とマネージドケアについて学びました。

ストレングスモデルに対する6つの質問と意義があり、本章では1つ1つに回答をする形式になっています。

本当の問題と危機についてどう考えるのか?では、問題へ絶え間なく焦点を当てることが、目標達成への注意を妨げ、つねにより多くの問題や危機を作っていることを指摘し、
 『問題を無視しないが、劇中での主人公とするかわりに、小さな役割しか与えない』 
 問題を適切な文脈の中で認識すること
 問題について話し合うには、より簡単な方法をとること
 問題にはなるべく小さな注意を払うこと                                              

  (Weick&Chamberlain,1997)
としています。

すべての状況がストレングスモデルに適しているわけではないが、基本はできる限りクライエントの望む人生を援助することで、危機を最小にし、その状況によって失うもの(住居・仕事)を少なくしたり、より早く危機から回復できるように援助するために、ストレングスモデルが焦点を当てるところは疾患の治療ではなく目標達成・エンパワメント・生活の質としています。

『より重要なことは人々が望む生活の目標達成において苦痛と障害になることは何かを理解すること』

「精神疾患」に関するこれらのさまざまな定義を全部活用しながら、人々は立ち直り、リカバリーし、人生を変えていくものであり、病気が自分自身にとってどのような意味を持つのかはその人自身にしかわからない。そして、その意味はリカバリーの道のりの中で常に変化する可能性をもっていると著者は考えているようです。

ストレングスモデルは「肯定的リフレーミング」ではないのか?という問いには、肯定的リフレーミングは苦しい状況、困難な状況を肯定的な視点から再定義する手法であるけれど、ストレングスモデルでは、誰もが立ち直り、リカバリーし、自分の人生を変えていくことができ、誰もが独特なストレングスや才能やスキルを持っており、地域社会が、人々の福利を達成するのに必要とされる鍵となるものを提供すると認識しているため、リカバリーの道のりの中、苦痛・問題・困難も承認されると答えています。

個人的にはストレングスモデルは「肯定的」という評価的意味のあるモデルというよりも、「楽天的」というほうがしっくりくると思いました。

マネージドケアとストレングスモデルの差異についても言及され、ストレングスモデルによるケアの成果はそれぞれの人のリカバリーのきっかけづくりである点が、ケア費用の圧縮に重きを置くマネージドケアとの大きな差であるようにも思いました。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。