統合失調症者の死亡リスクの高まる薬物療法

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19895781

統合失調症をお持ちの方への薬物療法において、多剤併用大量療法は有害事象の危険性が上昇する、とよくいわれます。

Baandrup L, Gasse C, Jensen VD, Glenthoj BY, et.al.:Antipsychotic polypharmacy and risk of death from natural causes in patients with schizophrenia: a population-based nested case-control study.
J Clin Psychiatry;71(2):103-8.2010

これはデンマークでのコホート（前向き）研究です。

この研究の目的は、抗精神病性多剤併用療法が統合失調症患者の間で一般人口と比較してより高い死亡率を示すことと関連するかどうか調査することで、デンマークの中央記録簿から入手された1996年1月1日から2005年12月31日までの患者データを使用して実施されました。

27,633例の統合失調症（または他の主に感情病圏ではない精神病）患者の集団から期間中に自然死した193のケースと1,937人の年齢および性別をマッチさせた対照について検討されました。現行の薬物使用は、没年月日前90日以内で記入された少なくとも1つの処方と定義され、データは、条件つきのロジスティック回帰によって分析されました。

結果は、自然死のリスクは、抗精神病性単独療法と比較して並行して使用済みの抗精神病薬の総数で増加しなかった（抗精神病薬なし：調節されたオッズ比= 1.48;抗精神病薬２剤= 0.91 ;３種類以上= 1.16 ).というものでした。ただし、長い半減期のベンゾジアゼピン誘導体の使用は、抗精神病薬を使用中の統合失調症者においてオッズ比 = 1.78で、自然死のリスクが高まることと関係していたそうです。
この論文の結論としては、抗精神病性多剤併用療法は、中年の統合失調症患者で自然死率を高めることと関係がなかった。ただし、半減期の長いベンゾジアゼピン薬と高まった死亡リスクの関係についてはなお一層の解明が必要である、というもののようでした。

年齢・性別のみのマッチングですので、精神疾患の重症度や身体疾患の状況等が判明しておらず、詳しいことはよくわからないのですが、ベンゾジアゼピンの使用と死亡リスクの上昇というものには注意が向きました。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。