統合失調症の治療抵抗性(持続性)陽性症状に対しての認知行動療法的アプローチに関しては、種々の論文が提出されていますが、比較的最近のメタ分析レビューです。抄録はネットでも読むことができます。
→http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16005380?dopt=Abstract
背景:抗精神病による薬物療法の効果にもかかわらず、持続する幻覚と妄想は、一部の患者では完全におさまらない。通常の治療に追加した認知行動療法(CBT)は、この持続性の陽性症状の管理を改善すると考えられている。しかし、さまざまな有望な研究結果があるのにもかかわらず、CBTの有効性は、まだ不明である。そのため、近年の研究をレビューしてこのこの問題に回答しようとするものである。
方法:1990年から2004年の間に発表された14の研究(1484人の患者が含まれる)の結果のメタ分析を実行した。その結果、他の追加的治療と比較した場合に、CBTは陽性症状の著明な改善を示した。さらに、CBTのより高い恩恵は急性精神病性状態の患者のほうが慢性状態に(エフェクトサイズでは0.57対0.27)かかっている患者のためにあった。ディスカッション:CBTは、統合失調症スペクトラム障害の陽性症状のための有望な付加的治療法である。しかし、治療的なアライアンスや神経心理学的な障がいといった、いくつかの結果を潜在的に修正する因子については、まだ研究されていない。
CBTは統合失調症の幻覚や妄想に有効であるとする論文は少なくありませんが、有効である論文においては、CBTは1対1のCBTであることが特徴です。昨年、UKの研究者の方からうかがった話では、UKではだいたい1セッションは60分以内、20セッション程度おこなっているそうです。