アドヒアランス・セラピー

Gray R,Leese M,and Bindman J:Adherence therapy for people with schizophrenia. Br J Psy 189:508-514,2006 を読みました。

統合失調症の患者さんに治療参加を促すためのアドヒアランス・セラピーというものがあります。アドヒアランスセラピーは治療者と患者が協力して治療を考え、選択していくという主義によるもので、

1)アセスメント
2)薬による問題解決
3)薬物療法のタイムスケジュール
4)アンビバレンスの調査
5)薬物療法への信頼と懸念
6)将来的な薬物の使用について

の6つのコアの項目からなっています。

このセラピーの有効性についてはまだはっきりとはしていないために、オランダ・ドイツ・イングランド・イタリアの施設が参加したRCTが行われました。この52週間の無作為割付/シングルブラインド研究では、参加者409名は個別に8セッションのアドヒアランスセラピーを受けるか、同じ期間の健康教育を受けるかに無作為に振り分けられました。評価は開始時と52週間目に行われました。

結果としては、アドヒアランスセラピーは、QOL、治療への参加、精神症状のいずれの側面についても対照群となった健康教育よりも有効ではありませんでした。

アドヒアランス・セラピーの過去の研究は、入院患者によるサンプルが対象でしたが、今回の結果は、一般的な成人の治療セッティング中の統合失調症を持った患者さんに適用可能なものでした。有効性に関する結果は、サービス準備のパターンのいくつかの明らかな差にもかかわらず、異なる国々の4つの研究サイトすべてで一貫していました。これまでのアドヒアランス・セラピーについての論文では、そういったアドヒアランス・セラピーの形式には治療的期待があるとされていました。

この研究は、さらに将来の研究用の仮説を作り出しています。たとえば、既に多職種臨床チームのメンバーであるスタッフによってアドヒアランスセラピーが行われた時に、その治療は有効なのかもしれない、とか、セラピーは、最小の治療参加者である患者にのみ選択的に有効かもしれません。今回の研究は、統合失調症を持った人々の治療参加、精神機能障害あるいはクオリティー・オブ・ライフを改善することに際しては、アドヒアランスセラピーが効力不足であることを示す証拠を提出しました。したがって、治療の勧めに対して治療に参加することに気が進まない、もしくはできない統合失調症の人々にどのように支援するのがベストなのか、という重要課題は、したがって未決着のまま残っています。

ブリティッシュ・ジャーナルは「熱に浮かれた」はやりの治療方法論に冷静な視点からの研究を載せることが多いので、私は時々読んでいます。その次に読んでいるのはサッカーダイジェストPsychiatric Servicesです。

財団法人 住吉病院の求人情報はこちら

(wrote:財団法人 住吉病院