心理教育における迷信

統合失調症の患者さんに病気の教育なんかしたら具合が悪くなる?それは迷信です。

Barrowclough C,Haddock G,Lobban F,et al:Group cognitive-behavioural therapy for schizophrenia-Randomised controled trial.:Br J Psychiatry 189:527-532,2006

イギリスでは統合失調症治療ガイドラインにより、薬物治療にグループフォーマット認知行動療法が有効であるという結果が得られています。最近のWykesら(2005)の無作為割付研究では、治療者が経験をつんでいる場合には、「ヒアリングボイシズ」プログラムは幻聴を軽減するというものがあります。今回、Baarowcloughらは、持続性の陽性症状を呈している患者様へのグループ認知行動療法の有効性について検討する目的で研究をしました。

結果として、認知行動療法群と通常治療の間では症状、機能、再発について有意な差が見られませんでした。つまり、このようなグループ活動をしても病気が悪くなることはないのです。しかも、グループ群では絶望感と低い自尊心の評価に関して軽減が見られました。グループCBTは幻覚や妄想を悪化させず、自分自身への否定的な感情と将来への希望のなさなどに対して重要な利点があるというわけです。

桜ヶ丘記念病院が2005年の心理教育・家族教室ネットワーク研究集会で「幻聴についての心理教育プログラム」について発表しましたが、このときの結果でも、陽性症状は悪くなるわけではなく、SDSS-J(主観欠損症候群評価尺度日本語版)における、自分自身への評価は有意に改善していました、というものと結果はほぼ同じと思います。

私たちの実践はどんな結果になるのでしょうか。今から楽しみです。

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(wrote:財団法人 住吉病院