多剤大量療法と服薬管理指導業務

わが国における統合失調症の薬物療法の問題点として、「多剤大量療法」があげられてから、長い月日がたちました。

わが国では、世界的に見ても抗精神病薬の使用種類が明らかに多く、中でも、抗精神病薬を4種類も重ねて使用しているのは日本くらいだと国別調査の結果では指摘されています。

多剤・大量療法によって治療効果が上がるというエビデンスは乏しく、問題点は次のように考えられています。(宮本聖也ら:抗精神病薬の選択と多剤併用。臨床精神薬理2002;843-854)

1.有効な薬物の確定困難      

2.副作用の場合にも原因薬物確定困難

3.少量併用により、各薬剤の血中脳j度が有効域に達しない

4.併用の際の相互作用によって向精神効果の減弱

5.相互作用による副作用の発現や相乗効果の危険

6.調剤ミスや投薬ミス誘発の危険

7.服薬遵守の低下

8.医療費増大

9.副作用の治療でさらに新たな薬が必要になる

10.ここの薬物の特徴把握が困難

11.文献との照合が困難

12.新規抗精神病薬のメリット消失

海外調査でも、Waddington JL、et al.:Mortality in Schizophrenia.Antipsychotic polypharmacy and absence of adjunctive anticholinergics over thye course of a 10-year prospective study.Br J Psychiatry 173:325-329,1998 のように多剤大量療法が生存率の低下を招いたのではないかとする文献があります。多剤投与は結果的に処方薬のトータルを増加させるため、大量投与にいたりやすく、また、抗コリン剤などの追加があるためにリスクが高まるという考えですが、リハビリテーションの面からいっても、大量療法による認知機能障害によって、社会心理的治療がうまくいかなかったり、QOLの低下をもたらす可能性もあると思います。

そのような場合には、指導医や薬剤師のような第三者的立場からの処方へのアドバイスが有用です。たとえば、薬剤師は服薬管理指導業務を行いますが、その中には、次のようなものが含まれる可能性があります。

 副作用のモニター

 薬物相互作用の検討

 患者様の自発的薬物体験の検討

 服用方法の検討

 処方調査

 多剤併用・大量療法への対応

 薬を切り替える際の支援

 服薬指導

などが含まれます。当院でも薬剤師が個々の入院患者様に服薬管理指導業務の一部として服薬指導を行わせていただいておりますが、今後も医師と薬剤師、そして病棟やリハビリのスタッフがチームを組んで、よりよい薬物療法を追求していきたいと考えています。

精神科薬剤師の活動についてはこちらもご参照ください。↓

http://www.smilenavigator.jp/report/rep04_01.html

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(wrote:財団法人 住吉病院